セラピストが押さえておきたいこと ~ 運命共同体 マイクロバイオーム(細菌叢)の重要な役割・皮膚編

セラピストが押さえておきたいこと
(この記事は、旧サイトにて2019年9月19日に公開した内容を更新したものです)
こんばんは
こころと身体のセラピストゆうです (*^-^*)
今回は、私たちにとってとても重要な役割をはたしてくれている運命共同体である “ マイクロバイオーム(細菌叢)・皮膚編” をテーマにお伝えしてまいります。
私が腸セラピーを学んだ17~8年前は、まだまだネット自体もそうですし、情報が現在のように溢れかえっているような状況ではなかったので、学ぶとしたらもっぱらスクールや書籍でという感じで、入手できる情報もかなり限られていました。
ところで、菌・ウィルス・原虫と聞くと、“汚い” とか “危ない” とか “殺菌・除菌しなきゃ ”…って、私たち随分刷り込まれていませんか?
コマーシャルの威力って凄いです。。
私たちの身体に生息する細菌叢たちは、危険どころか私たちのこころや身体の健康や美容面などにもかなり重要なはたらきをしていることが近年の専門機関での研究で明らかになってきています。
腸内細菌の有用性に関しても、ここ5~10年でかなり研究も進み色々なことが解明されてきているようで嬉しい限りです。
さて、今回のテーマは  “ ヒトマイクロバイオーム ”  という、人体に共生する微生物である  細菌・真菌・ウィルス・原虫 の重要なはたらきについてです。
セラピストやエスティシャンの皆さんにも是非知っていただきたいので、一緒に学んでゆきましょう。
(画像: Freepik )

菌て怖いの? ~ ヒトマイクロバイオームとは

ヒトマイクロバイオーム = ヒト常在細菌叢(叢とは草むらの意味で、腸内フローラなど腸内細菌でもよく使われます)を言います。

今や腸内細菌の有用性というのはだいぶ浸透してきたように思いますが、人体に生息する菌というのは腸内細菌だけではないのです。

 

 

腸内細菌以外に菌はからだのどこに棲んでるの?

ではほかに、どういったところにこの微生物たちが生息しているかというと、皮膚、頭部、口の中、鼻の穴の中、耳の中、食道・胃・小腸・大腸などの消化器系、尿路、膣などの生殖器  など人間の身体のあらゆるところに数百兆個の常在菌が存在します。

私たちの全身を覆う皮膚は、成人で約畳一畳分で、重さに換算すると体重の約16%を占めています。

腸内細菌同様、私たちの皮膚表面には多種多様な細菌が生息していて、身体の部位やその環境に応じて様々な微生物叢が形成されています。

人によって常在菌の種類はまちまちで、病原性のある菌もない菌ももともと保有しています。

 

 

皮膚の常在菌と皮膚トラブルの関係

皮膚は直接外部の環境と接する部分となるので、皮膚に生息する細菌たちは外部の刺激や感染から私たちを守ってくれています。

この菌たちは、有り難いことに有害な微生物の定着を防ぐとともに、肌の免疫システムの調整にも一役かってくれているのです。

近年、アトピー性皮膚炎や手足口病・主婦の手湿疹など、お肌にまつわる奇妙な病氣も増えているように思いますが、こういった皮膚疾患に関しても細菌叢の関わりが急速に解明されてきています。

ちょっとマニアックな話ですが、近年では『 超高速DNAシーケンサー 』というシステムを用いた メタゲノム解析 が行われ、その細菌がもつ特有の遺伝情報を解読することが可能となったため、さまざまな微生物情報の解明が急速に進んでいるのです。

 

( 東京工業大学HP:ヒト細菌フローラマップより

 

皮膚を棲みかにする微生物たち

私たちの皮膚表面には、およそ1000種類以上の微生物が生息していることが判明しています。

皮脂が多い部位ではアクネ菌(プロピオ二バクテリア)や表皮ブドウ球菌が、湿った皮膚の部位では表皮ブドウ球菌・黄色ブドウ球菌・や放線菌類(コリネバクテリア)乾いた皮膚の部位では、プロテオバクテリア (腸内細菌類)やグラム陰性菌類(フラボバクテリア)などが生息しています。

表皮ブドウ球菌は皮脂や汗がご飯となり、弱酸性の脂肪酸(抗菌作用のあり)と潤いには欠かせないグリセリンをつくり出し、お肌を弱酸性に保ってくれています。

ちなみに、真菌のマラセチア菌も脂肪酸とグリセリンをつくり出す職人(職菌?)です。

 

お肌は微生物たちが守ってくれていた!

表皮ブドウ球菌は、汗腺に生息するアクネ菌がつくり出す脂肪酸と混ぜ合わせて『 皮脂膜 』をつくることで皮膚表面を弱酸性に保っています。

そして、ブドウ球菌(この子は弱アルカリ性好き)などの病原菌や雑菌・カビの増殖を抑え、表皮を守るバリアをつくるという素晴らしい仕事もこなしてくれているのです。

黄色ブドウ球菌は、健康な人でも喉や鼻の中・皮膚表面や毛穴に存在する病原性の高い菌です。

食中毒を引き起こすほか、傷や洗いすぎにより肌がアルカリ性になってしまうと増殖し、炎症を起こしたり、おできやニキビ・水虫にも存在します。

皮膚に最も多く生息するとされるアクネ菌は皮脂が大好物で、この皮脂を分解してプロビオン酸(脂肪酸)とグリセリンをつくり出し、皮膚表面にくっついてきた病原性のある細菌の増殖を抑えてくれています。

ただ、何らかの原因で毛穴が詰まったり皮脂が増えすぎてしまうと、アクネ菌が増殖し炎症を起こしてしまいニキビの原因になることも。。

何事もそうですが、どれがいい悪いではなく、みな必要だから存在しているのであってバランスが大切であるということです。

 

綺麗好きにもほどがある

このように、目には見えないけれど私たちの皮膚には運命共同体である微生物たちが生活をしていて、その営みの中でとてもありがたい働きをしてくれています。

清潔神話と言いますか、殺菌・滅菌・除菌などの商品も色々と販売されていますが、抗生物質同様、私たちにとって害のある菌だけを退治してくれるわけではありません。

使い方を誤ると、色々と問題が出てくるのは当然のことです。

洗いすぎも最近ようやく問題になってきているようですが、折角、微生物ちゃんたちが感染や様々なものから守ってくれたり、しっとりとした潤いのあるお肌を作ってくれているのに、私たちの間違った認識による習慣が思いもよらない結果を招いているのが現状です。

温水洗浄機能の使用もほどほどに

余計なお世話ですが、外出時などでトイレに行った際、この方はいつまで洗っているんだろう・・という方が時々います。
ここ数年、洗いすぎによる肛門の炎症や、膣炎を訴える女性も増えているのだとか。。
洗えば汚れは取り除けるのでしょうが、それが過ぎれば必要以上に常在菌も洗い流しているのですからそうなっても仕方がないことです。
逆に有害菌が増えて、臭いの元にもなりかねません。

洗わない方が匂わない?

世界の先住民族の元に訪れた方の話しを聞くところによると、彼らはシャワーを浴びたりお風呂に入るという習慣自体があまりないそうです。
でも、臭くないし、むしろいい香りがするとその方は仰っていました。
参考までに 『一生お風呂に入らないのに世界で一番美しいヒンバ族に会いに行ったら心奪われた』 という記事を見つけたので添付しておきます(*^-^*)
https://tabippo.net/beautiful-himba-woman/

最後に

最近、私も身体は手で洗うようにして、石鹸やシャンプーの使用も必要最低限にしています。
これは、肌の微生物ちゃんたちを守るためでもあるのと、なにより地球をできるだけ汚さないための私なりの小さな心掛けです。
あらゆる微生物ちゃんたちが元氣に調和的に過ごせるよう、一人ひとりが心掛けたいものですね。

おまけ

≪ おすすめ☆万能酵母くん ≫

名前の通り、本当に万能だった!!

以前、パソコンの使い過ぎで目の疲れがあり、更に不摂生の影響もあってか目玉の表面が津液不足のせいか、ブヨブヨとしているのを発見(汗)

お氣に入りの目薬が切れたタイミングで初めて万能酵母くんを目玉に使用。

すると、充血も治まりいい塩梅。

でも、とっても沁みました。けど、慣れると癖になる。

鼻炎が出た際にも、点鼻にて使用。

お鼻も、いつの間にか治まっていました。

名前の通り、本当に万能だった。

 

◆ 参考図書・引用サイト・・・・・・・・・

◆ ヒトマイクロバイオーム研究:https://www.medience.co.jp/forum/pdf/2018_01.pdf

◆ 皮膚常在菌層の包括的理解に向けて:https://gakkai.sfc.keio.ac.jp/publication_pdf/SFC-SWP_2015-009.pdf

◆ ヒトマイクロバイオームの解析手法論( 理化学研究所 ):https://www.osaka-med.ac.jp/omics-health/v9oak00000005kvy-att/180702_symposium_suda.pdf

◆ イルミナ: ヒトマイクロバイオーム解析:https://jp.illumina.com/areas-of-interest/microbiology/human-microbiome-analysis.html

◆ 目に見えないヒト常在菌叢のネットワークをのぞく:http://www.sasappa.co.jp/online/abstract/jsasem/1/049/html/1110490301.html

◆ マルホ皮膚科セミナー:アトピー性皮膚炎における皮膚細菌叢の関与:http://medical.radionikkei.jp/maruho_hifuka/maruho_hifuka_pdf/maruho_hifuka-180104.pdf

◆ 感染症の管理A. 細菌の分類:http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/picu/infection/inf-a.html

◆ 口腔細菌が及ぼす全身への影響:http://www.eiken.co.jp/modern_media/backnumber/pdf/2017_08/001.pdf

◆ 口腔内細菌の全身疾患への関わり:http://medical.radionikkei.jp/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-120725.pdf

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